糞日記

イェイ!人生!

5月28日

いわゆる「二郎系ラーメン」が苦手なのかもしれない。その事に気がついたのは最近であった。そもそも僕は油っこい食べ物を腹に入れると、ほぼ毎回腹がぶち壊れるのだ。二郎系ラーメンとは、そのような脆弱な人間が踏み込んではいけないサンクチュアリなのである。だいたい「油っこい」とは「ちょっとしつこい」くらいのニュアンスなのであって、あのような脂の塊が可視化されている状態をいう日本語は存在しない。ほとんど暴力だ。

 

 

京都一乗寺に「二郎系つけ麺」という地獄のようなカテゴリーを自称するラーメン屋がある。地元の友人がこの店をたいへん気に入っており彼が京都に立ち寄るたびに連行されてしまう。昨日も当然のように連れていかれた。僕は内心「なぜ有料で腹を虐めに行かねばならんのだ」と不服に思っていたが、せっかく京都に立ち寄ってくれたのだ、別に嫌いなわけではないからね、と軽い気持ちで同行する。友人は大変に腹が減っている様子で「今日はマジで、無限に食えちゃうわ!!」と息巻いていた。そこまで楽しみにしているのなら、なんとなく僕としても嬉しい限りだ。行くしかないじゃない。

 

この店は替え玉を無料で何回でもおかわりできるシステム。つけダレもこってりしていてかなりヘビーだが、なかなか美味しい。僕は普通盛り、友人はトッピング全部のせの「バクショウ盛り」を注文。実食。

 

僕は長年連れ添っている自分の腹の具合を熟知している。「替え玉無料」は罠なのだ。ここで調子に乗っておかわりなんぞをすると僕の腹は1発で死ぬ。この手の飯は腹八分目に抑えておくのがベスト。さながら諸葛孔明のような先見を持って、1杯目を食べ終えたところで箸を置く。

 

一方で友人は好物ということもあり、山のように盛られたトッピングをパク付きつつ、替え玉を2杯頼む。素直に感心して見ていると、なんだかペースが落ちてくる。だんだん、だんだん、だんだんと箸を口に運ぶ回数が減ってきたと思うと、彼はこう言った。

「伊藤!限界!バトンタッチだ!!」

 

伊藤は困惑した。彼が30分ほど前に彼が豪語していた言葉が僕の脳裏に蘇る。

 

「今日はマジで、無限に食えちゃうわ!!」

「今日はマジで、無限に食えちゃうわ!!」

「今日はマジで、無限に食えちゃうわ!!」

 

しかし目の前の彼は僕に対して「限界」を申告してきたのだ。つまり彼にとっての「無限」とは「有限」。僕の知り得る概念とは一線を画していたのである。僕は思わず「え、哲学の話ですか??」と問うてしまったものだった。

 

 

つまり彼は「いきがった」のである。彼はおそらく「いっぱいご飯を食べる男子はモテる」と思っていたに違いない。そんなのは小学生までの話だし、僕は異性が好きなので同性の彼はどこまで行っても「友人」としか見れない。しかし僕はそのような個人のジェンダーには寛容な方なので、彼の僕に対する淡い恋心は見て見ぬふりをし、今まで通りの良好な関係を築いてゆく所存だ。

 

しかし、このSOSのせいで僕の完璧なペース配分は瓦解した。結局彼のお残しの大部分を僕が食したため腹八分目計画は何処へやら、普通におなかいっぱいになってしまった。

帰り道10分ほど歩いたところで身に覚えのある腹痛が顔を出す。はい、ひょっこりはん!!家まで我慢していたら間違って汚物が尻からひょっこりはんしそうな気がして、二度と行かねぇ二郎系と心に決めながら、最寄りのコンビニへと歩みを早めた。