5月14日
今年に入って1度もゼミに出ていない。
恐らく、「ヤバい」。
最初の授業に出席しなかったのがまずかった。
そこからズルズルといけなくなってしまい、かれこれもう1ヶ月以上の大サボダージュだ。確実に怒られる。怒られるのは、「こわい」。
今日こそは出席しようと心に決める。落ち着くために一旦学校近くのファミリーマートでヤニ摂取。適当な言い訳を考えながら一服していると、心なしか余裕が出てきた。いける。僕は確信していた。
そして気がつくと僕は家にいた。何が起こったか分からず、一瞬視界が歪む。戦慄のようなものが僕の中を駆け巡る。僕は己を過信していたのだ。僕のような極めて怠惰にできている人間が一度学校の外に出てしまったら、二度と戻れるはずが無かったのである。口惜しい。強く噛み締められた僕の下唇には、薄く血が滲んでいた。
悔しさのあまり、僕はつけ麺を食べた。理由は至ってシンプル。美味しいからである。今日のこの悔しさを、濃厚魚介のスープとよく絡めた太麺とともに噛み締める。まさに「臥薪嘗胆」といったところか。麺を平らげ、スープ割りを飲む。僕はつけ麺が好きだが、いつもスープ割りを飲み干すことが出来ない。ラーメンの汁を飲み干さない宗旨の家庭で育ってきたからである。つけ麺のスープを残すと、大体のラーメン屋店員はちょっと睨んでくる。僕は俯きながら蚊の鳴くような声で「ご馳走様です。」と言って店を後にする。今日も最高の1日だった。