5月1日
自転車の後輪がパンクした。
その後輪はつい一週間前にもパンクし、修理したばかりのものだった。
多村仁志のようなペースで怪我をしまくる自転車を引きずって僕は自転車屋さんへ向かった。
一週間前と同じ店員に応対され、同じような説明を受けながら診断結果を待つ。
「4箇所、パンクしていますね。」
僕は唖然とした。どんだけボロボロになってんだよ、一週間前の修理は一体何だったんだと憤慨したが、この店員は絶対に中卒だと思い込むことで自分を落ち着かせることに成功。
中卒店員は、タイヤの痛み具合を丁寧に説明してくれた。
「タイヤが全体的に薄くなって傷だらけ。カサブタまみれになってる感じですね。」
擬人法を使ってきたので高卒の可能性が出てきた。侮れない。
受付の椅子に座って修理が終わるのを待つばかり。テーブルの上には、楽器に改造されて辛そうな顔のカニの玩具が置いてあった。これを商品化に踏み切った人は、多分鬱病なのでお近くの病院に駆け込んでいただきたい。
「料金は、3024円になります。」
チューブ交換を終えた高卒店員は満足気に僕に代金を求めてきた。僕は先述のカニのおもちゃとそっくりな表情でお金を払い、自転車屋を後にした。